
☆☆最初に☆☆
これは、生後数カ月のワクチンの話ではなく、その後(生後2年めから)の混合ワクチン接種について、
が勝手につぶやいているお話です。
☆☆☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
混合ワクチンは狂犬病ワクチンよりも犬の体への負担が大きいと言われています。
(狂犬病ワクチンの安全性を誇示するための風説か?とも思ったりしますが。)
「病院で注射を接種してから愛犬の調子が悪くなった。」という経験をされた方も多いでしょうし、持病があったり、老齢の仔へのワクチン接種を「今年はどうしよう」と悩んでおられる飼い主さんも多いかと思います。
【なぜ、『混合ワクチンは毎年接種しなければいけない』と思っているんですか? 】
獣医さんが勧めるから?
本やネットで書かれているから?
1年に1回ワクチンを接種していないだけで、伝染病を持った犬のように扱われるから?
以前に書いたように(⇒「狂犬病のワクチンの原価は100円です」-7月28日記-)、最近では、獣医大学の教科書も3年1回を推奨する記述になったりと、日本でも徐々に「1年に1回の混合ワクチン接種」が見直されはじめています。
なぜなら、1年に1回のワクチンの追加接種への免疫学的な理由は、世界のどこにも存在しないからです。
薬品会社は獣医に「1年で抗体が切れる」と説明していますが、それは全体の犬の2割に満たないという報告もあります。ウィスコンシン大学病理生物学部長のDr. Ronald D Schultzは 「一度、あるウイルスに対する免疫ができれば、それは生涯持続する」と、言っています(*)。
(*)後述しますが、『免疫力』 と 『抗体の有無』 は必ずしも一致しません。
じゃあ、なぜ「1年」を推奨する獣医がいるのか?
(前回で既出ですが)
○新しい考えを受け入れない年寄り
○ワクチンで儲けたい
○薬品会社の営業から聞いた受け売りの知識しか持たない不勉強
のどれかでしょう。
『薬品メーカーの保証期間が1年だから』 と、営業マンのトークに乗っかり、飼い主の不安をあおる。
製薬会社と動物病院の営利目的の陰がちらつきます。
ネットで調べれば、1年に1回のワクチン接種を廃止している獣医さんが増えていることもわかります。
利益を減らすことは勇気のいることですが、私たちのワンコのことを考えてくれる獣医さんはたくさんいるのです。
「毎年の接種は不必要」という考えは、日本でも徐々に広まっていくのではないでしょうか。
【混合ワクチンは何種のものを接種すればいい?】
以前は2種や5種混合ワクチンが主流でした。
最近では6種、8種、9種などが一般的になっています。
よく使用される混合ワクチンの内容です。
・ 2種混合ワクチン : ジステンパー、パルボウイルス
・ 3種混合ワクチン : ジステンパー、犬伝染性肝炎、アデノウイルス2
・ 4種混合ワクチン : 3種混合 + パラインフルエンザウイルス
・ 5種混合ワクチン : 4種混合 + パルボウイルス
・ 6種混合ワクチン : 5種混合 + コロナウイルス
・ 7~13種混合ワクチン : 6種混合 + レプトスピラ 1~7種
長くなるので内容の説明はかなり端折り(はしょり)ますね(^^;)
・ジステンパー、パルボウイルスは、感染すると死に至る伝染病です。
・アデノウイルス(1型/2型)は、肝炎を起こし、仔犬で死亡率が高く、成犬では不顕性(発症しない)であることが多い感染症です。そのほか、ケンネフコフの発症もあります。
・パラインフルエンザウイルスは、ケンネルコフを発症させます。犬の感冒(風邪)です。咳、鼻汁、発熱症状などが出ます。自然回復することもありますが、その状態のまま長く放置していた場合は、肺炎を起こし重篤化することもあります。
・コロナウイルスは、下痢や血便、時には嘔吐が見られます。感染力が強く、仔犬には危険な感染症で、下痢をして突然亡くなることもある伝染病ですが、成犬は軽い下痢程度で回復します。コロナウイルスのワクチンはアレルギーを引き起こしやすいと言われています。
こうして見ると、昔のように2種で十分、どうしても心配なら5種で十分な気がしてきませんか。
(3種、4種について言えば、ジステンパーが入っていてパルボウイルスが入っていないという、テレビ業界でいう、いわゆる「抱き合わせ買い」という、薬品会社のしたい放題な組み合わせ)
だけど、いつのまにか、6種、7種、9種、更には13種にまで増えている。
これは、レプトスピラ症を予防するワクチンが増えているからです。
ところが、このレプトスピラのワクチンは、2ヶ月~半年くらいしか抗体は持続しない。
レプトスピラはウイルスではなく、細菌で、細菌に対しては生涯免疫を得ることはできないからです。
しかもレプトスピラは250種以上あるので(日本で確認されているのは9種類)、そのうちの数種のワクチンを打てば万全、というわけではなく、ヒットした場合の有効性は50%~75%。
発症率の低さからいっても、レプトスピラに感染する可能性より、1年に1回ワクチンを接種するリスクのほうが高いと言っても過言ではないでしょう。
北米27の獣医大学(The Colorado State University, Texas A&M, The University of Wisconsin など)ではレプトスピラの予防ワクチンの接種を避けるよう奨励しています。
オーストラリアでは、レプトスピラワクチン接種による副作用の危険性が問題視され、多くの学者が使用中止にするよう警告しています。
【混合ワクチンの副作用】
レプトスピラが入っている混合ワクチンと入っていないものでは、副作用の発症率に差がある事は周知されていますが、それ以外では、数が少ないほうが副作用の発症が少ないというデータはないそうです。
「ワクチン・ショック(接種の15分後くらいに発症し、死に至る重篤な症状に陥る副作用)」の発症率は0.6%(麻布大学獣医学部発表)です。
(10年何でもなかった仔が11年めに突如発症するというようなケースも少なくないので、決して「ずっと大丈夫だったからウチの仔は大丈夫」と楽観視せず、ワクチンの注射は午前中に行って、注射後15分~30分は、待合室で静かに様子を見る、というのが良いとのこと。)
多くの仔に見られること(すべての仔、ではないですよ)で問題視されるのは、1年に1回の過剰なワクチン接種による副作用です。
① 内分泌系に影響を与え、抗体を作りにくい体を作り、更には自己免疫疾患(リンパ球が自分の体の細胞を敵とみなして攻撃し組織障害を起す)を発症させてしまう。
ワクチン接種をしているのに、伝染病を発症してしまう犬が多いことはご存じでしょうか。ワクチンを接種していたのにジステンバーにかかってしまった!1年に1回の過剰接種で、ワクチンを接種しても抗体が作れない体になってしまったことが原因の一つではないか、と言われています。
② 体内の代謝をコントロールする甲状腺の機能低下を引き起こす。
甲状腺の機能が低下すると、攻撃的になったり、てんかん症を発症しやすくなります。
③ アカラスなどの皮膚炎を起こしやすくなる。
これは昔から言われていることなので、聞いたことがある人も多いと思います。
ワクチンは、自然の免疫ルートを通らずに、皮下注射でウイルスを血液や筋肉に大量に注入します。そのため、身体は突然体内に入ってきた異物に対応しきれず誤作動を起こし、アレルギーや自己免疫疾患を発症させます。免疫力という外壁を経ず、突然空から爆弾を落とされるようなもんですね。
【本当に3年に1回でいいの?】
「3年で1回」の考えは、アメリカ動物病院協会(AAHA)が作成した、「犬のワクチネーションガイドライン」が参照にされているようです。前述のDr. Ronald D Schultzも3年に1回の接種を推奨しています。
ですが、そのガイドラインにも、それぞれのワクチンの抗体有効期間は、(レプトスピラを除き)1年~7年とバラつきがあることが書かれてますし、当然、個体差もあります。
ネットでは、当たり前のように「アメリカでは3年に1回」との記述が多く見受けられます。特に個人ブログの場合は、ただの聞きかじりの情報に過ぎず、きちんと根拠を調べているわけではない、と受け止めておくべきでしょう。
アメリカの獣医師会では、その後、「抗体価検査を受けること」を条件に、1年~7年に1回の接種(単独ワクチンを含む)を奨励し、多くの州で「混合ワクチンを打つなら3年に1回」の考えが取り入れられている、というのが現況です。
一般的に、ジステンパー、パルボウイルスといったコアワクチンの抗体が3年続くので、混合ワクチンを定期的に接種するなら3年を目安に、といったところが基本的な考えかと思います。
ここに、ジステンパーとパルボの2種類について調べている獣医さんがおられます。
(以下転載)
石崎動物病院(広島)
この度、当院では、3年間に渡り、毎年、犬約600頭、猫約120頭の抗体検査を行いました。
●検査内容
犬は、①ジステンパー ②パルボ
猫は、①ヘルペス ②カリシ ③猫伝染性腸炎
それぞれで、以上のいずれかが引っ掛かった場合を接種必要としました。
●平成18年は、犬では、ワクチン接種が65%で不要でした。
猫では、71%で不要でした。
●平成19年は、犬では、同じく65%。猫では、71%がワクチン不要でした。
●平成20年、犬では、さらに同じく65%で不要。猫では58%不要でした。
●結論
犬、猫共に、おおよそ6割でワクチン接種が不要でした。
検査例の中には、3年間接種不要のケースもあり、毎年の過剰接種を避けるためにも、抗体検査確認後、ワクチンの再接種を検討することが、体に優しい良い方法だと分かりました。
つまり「6割以上で、ワクチンは、毎年射つ必要がない!」しかし「個体差があるので、個々に抗体検査で調べる必要がある!」と結論づけられました。
(以上転載)
【抗体価検査とは?】
『抗体検査』と『抗体価検査』は、同義で使われることも多いようですが、抗体価検査は抗体検査の一つです。
抗体検査にはその他にも、抗体陽性か陰性かのみがわかる検査などがあり、病原体に感染しているかどうかを調べる時などに行われます。
血液中にどれくらいの量の抗体があるかを定量的に調べるのが抗体価検査で、ワクチンの抗体が出来ているかを調べるのは、『抗体価検査』になります。
それぞれの病原体に対する抗体の量(抗体価)が、感染を防御できるレベルに達していれば、ワクチンを接種したと同じ状況にあるということです。病原体が体内に入ってきても十分に闘える可能性があるので、ワクチン接種を行う必要性はありません(過剰投与になります)。抗体価がそれよりも低い場合には、その病原体に感染し発症する可能性が高いため、ワクチン接種を行った方がよいという指針になります。
最近ではワクチン接種をせずに抗体価検査をすることを勧めてくれる獣医さんも増えています。
検査は血液で行うので、必要な処置は採血のみです。
毎年~3年毎に、抗体価検査で免疫力を定期的にチェックすれば安心、なのでしょうが…
問題は、費用
検査料は、それぞれの病院で異なりますが、必要な抗体価をすべて調べるためには、ワクチン接種よりも金額がかかることを覚悟する必要があります。
検査機構と契約してない病院は初回に契約代金を取られるため、高くなります。
検査を普通に受け付けている所は1種3千円位。3種で幾らというようにセット価格で安い所もあります。高額な所は1種1万以上。かなり値段に開きがあります。
そして、その結果、単体ワクチンの接種が必要とわかった…となると、大抵の場合、単体ワクチンは混合ワクチンよりもお金がかかる。
なぜなら、通常ワクチンは10回分1セットで購入しなければならないシステムになっていて、希望する患者さんが少ない場合、期限内に消費できず廃棄することになります。獣医さんとしても、ひとり(一頭)の患者さんために、残り9本を自己負担するわけにいかないですもんね。結局、単体を取り寄せると10頭分の費用負担が飼い主にかかってしまうのです。
しかも、日本ではバルボ以外の単体ワクチンは入手が難しく、2種(ジステンパーとパルボ)、4種(ジステンパー、パルボ、肝炎、アデノウイルス2型)から選ばなければならないのが実情です。
ここらへん、製薬会社の営利商法蔓延物語となっています。
なので、もちろん定期的に全種を検査するのが理想的ではありますが、これまでずっと混合ワクチンを受け続けているのならば、ジステンパー、パルボウイルスの2種を検査するだけで十分な気もします。
【検査の数値が必ずしも病気に対する免疫力を示すとは限らない】
抗体価検査で注意しなければならないのは、「抗体価の数値が低かったら、免疫力がない」、と即判断できるほど免疫機構は単純ではない、という点。
病原体の侵入にあった時にまず反応するのは、「記憶細胞」と呼ばれる、特異なリンパ球であり、抗体ではない。
このリンパ球は、一度体に入った病原体を全て記憶し、再度同じ病原体が侵入したときに免疫反応を起こさせ、それにより抗体が作られ、病原体をやっつけます。
したがって、抗体価が低くても、必ずしも過去に打ったワクチンが全く効かなかった、ワクチンを再度打たないといけない、との結論に直結するわけではないのです。
免疫力と抗体価、単純じゃぁないです。
違った見方をすれば、ワクチンを打っていれば感染しても発病はしない、というわけではない、ということですから。
ただ、抗体価が高かったら接種すべきではないのは事実でありますので、それでも、検査せずに過剰なワクチン接種を毎年受けさせるのか、の判断は、飼い主次第です。多頭飼いの場合は、費用も大きなネックになりますからね。
【10歳を超えたらワクチン接種をしてはいけない】
10歳を超えると、基本的にワクチン接種は必要ありません。
病気や年齢的なことで弱っている体にウイルスを入れることは危険です。
これも前回に書きましたが、ニューヨークにある、世界最高峰と言われている動物病院で、「日本人の飼い主は、みんなワクチンを打ちたがるけど、10歳以上の犬にワクチンを打つのは動物虐待と同じだよ。」と言われました。
だけど、日本の場合、アメリカと事情が違います。それまで毎年ワクチン接種をしている、すなわち、過剰なワクチン接種によって、抗体を作る機能が弱っている場合があります。加えて、個体によっては、老齢のために免疫力が極端に衰えている仔や、もともと抗体を作る機能が弱い仔もいます。
動物病院で抗体価検査を行い、抗体がなくなっているようであれば、何度も言いますが、飼い主さんの判断で、追加接種をするのも一つの方法かと思います。
【大切なのは免疫力】
前述の通り、ワクチンを打っているから、抗体価が高いから、といって、絶対にその病気にかからないという保証はありません。犬の年齢・健康状態・身体的/精神的ストレスの有無などにより、感染後に発病する可能性は、低いけれども、ゼロではないのです。逆に、高い免疫力を維持していれば、抗体がなくても、感染後に発症しません。言葉使いや話し方に
をドン引きさせた須崎氏ですが(⇒「パコのエアー散歩-5月31日記ー」)、「免疫力を高めておけばいい」という考えには、
も同意です。これまでインフルエンザのワクチンを打ったことがない
ですが、まわりで大流行しているど真ん中の環境においても、インフルエンザにかかったことは生涯一度もありません。免疫力、大切です!
【日本の混合ワクチン接種率】
20%です(法的義務のある狂犬病ワクチンの接種率は60%くらい)。
狂犬病ワクチンは法的義務があるから証明書の提出を求める施設があるのは致し方ありませんが、中には、狂犬病ワクチンだけでなく、一年以内の混合ワクチンの接種証明を求めてくる施設もあります。
ならば、接種した年だけ利用するようにすればいいんですが、
「ワクチンの過剰接種は避けたい」「でも、その施設は利用したい」
そういうときは、抗体価検査を受け、抗体価検査の結果を見せればいいのではないでしょうか?
抗体価検査のことを知らなかったら、面倒でも「すでに抗体は出来ているので抗体ワクチンを打つ必要はない、という証明」だと説明すればいいんです。
それを認めない、理解してもらえない、なんてことがあったら、それはその施設のスタッフがおバカなんです。
は、そんな無知なスタッフが運営する施設を利用したいとは思いません。
まだまだ書き足りないことがいっぱいありますが、以上、
が勝手に調べて考えた、混合ワクチンに関するお話でした。
あくまでも、
どしろうと
の
の独断と偏見によるお話でございます。。。。(反論と悪意に満ちたコメントはご遠慮くださいな。)
長々と書きましたが、ここまで読んでくれた人、ありがとー(^^)
【引用サイト/参照サイト一覧】
ワクチンの種類リスト⇒> http://www.petbridge.jp/useful/petlife01.html#list
石崎動物病院(広島) ⇒ http://www.ishizaki-ah.jp/index.php?ID=281
Super Puppy ⇒ http://superpuppy.ca/vet/vac_seminar.htm#
University of Wisconsin-madison ⇒ http://www.news.wisc.edu/8413
AAHA ⇒ https://www.aahanet.org/
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